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フランチャイズ展開する際の立地調査

 

フランチャイズ展開する際の立地調査

 

フランチャイズ事業の成功には、適切な立地で開業することが重要です。顧客が来店に至るまでの流れは業種によって異なりますので、ターゲットとなる顧客層の動きを意識して店舗の立地を選定することが大切です。

同じように事業を展開していたとしても、立地により大きな差がでます。道路を挟んでどちら側に出店するかでも違いが生じます。適切な立地に店舗を出店することで、集客力が高まり、売上が向上します。

FC本部構築事業

 

立地診断は、本部の最も重要なサポートの一つ

フランチャイズ事業は独立した加盟店の事業であり、その事業の利益(損失)は本部ではなく加盟店に帰属します。
したがって、どの場所に出店するかは最終的には加盟店の判断となります。とはいえ、店舗ビジネスを開業する加盟店には立地調査のノウハウがないことが多いため、サポートなくしては適切な場所で開店することが出来ないでしょう。

立地が店舗ビジネスの成否を分けるため、本部は加盟店のために、物件の選定や立地診断を行い、成功する確率が高い場所を選定する必要があります。それも、賃貸物件をめぐるライバルとの戦いに勝つには、なるべく短期間の間に交渉を終わらせて賃貸借契約の締結まで完了させなければなりません。

この記事では、これからフランチャイズ本部を構築する事業者の方向けに、本部が加盟店に対して行うべき立地診断の項目について概観したのち、業種別に立地選定のポイントを解説し、立地選定のヒントをお伝えします。

具体的な業種別の立地選定ポイントについては、飲食業界、教育業界、小売業界、サービス業界のそれぞれに焦点を当てて解説します。

 

立地選定のプロセス

フランチャイズのビジネスモデルに限りませんが、to C(消費者向けのビジネスモデル)の店舗テナントのための立地選定では、顧客ターゲットの特定や商圏分析が必要です。また、地域の人口動向や消費特性を理解し、競合他社との差別化を図ることが大切です。

また、立地選定時には、これまでの直営店や加盟店の売上実績を基にした売上予測も重要な要素です。データや統計情報を活用して本部はスピーディに売上予測を行い、候補となっているテナントの物件調査や確認事項についてのサポートを行い、速やかに加盟店がテナント契約を進めるためのサポートを行います。

 

店舗用のテナントを探すプロセス

テナントを借りて行う店舗ビジネスの場合には、加盟店はフランチャイズ契約を締結したのち、加盟店と本部が共同で開業するためのテナントを探すことになります。本部から開業に適した立地の条件についてのアドバイスや物件紹介をしながら、加盟店と共同で開業に適した店舗の物件を探すこととなります。

●加盟店の地の利で物件を選定

加盟店は土地勘がある地域で物件を探す場合が多いです。裏道であっても、メイン通りと同じぐらい人通りがあるなどお得感のある物件情報や、公開される前の不動産情報についても独自の人脈を通じて情報を得られるなどポジティブな要素もありますし、近隣に事業を進めるにあたって問題となる物件がある、なぜか何度もテナントが入れ替わっているなどのネガティブな情報もしっています。その点で本部よりも地の利を活かしてビジネスに向いた場所を探すことができる傾向があります。

そして、立地選定は、フランチャイズ本部と加盟店が協力しておこなうことでより効果的に物件を選定することができます。本部はこれまでの店舗開発経験や商圏に関するデータを元に、最適な店舗展開をサポートし、加盟店は自身の経営状況や地域情報を提供しながら、共に物件を選定することが大切です。

●開業候補のテナント探しは時間がかかることも

住居用の賃貸物件と異なり、テナント用の物件は数が少なく、また開業予定の店舗に適した大きさの店舗はすぐには見つからないので、粘り強く探すこととなります。焦って条件にあわない物件で開業してもうまくいかないので、ここは妥協せずじっくりと物件を探します。

長い場合にはフランチャイズ契約を締結してから、1年物件を探すということも珍しくありません。

なるべく短期間で希望の物件を見つけるため、複数の不動産仲介業者に依頼して自分の要望を伝え、代理で探してもらうという活動も必要です。

●物件情報を本部と共有する

加盟店が立地など簡易的な開業条件を満たすテナントが見つけた場合、その候補地の情報を本部と共有し、これまでに蓄積してきた手持ちの情報を利用して、本部は候補となるテナントの売上予測、開業して順調にビジネスを展開することができるかどうかについての判断材料を提供します。

事業用不動産賃貸物件は、一般的に賃貸用物件よりも高額であり借入希望対象者が少ないことに加え、家賃、フリーレント、造作の程度、開業可能業種、看板設置等様々な条件をめぐって、大家と賃借人との間で下交渉が行われることから、賃借人の決定までに時間を要します。

●店舗の賃貸契約交渉はスピードも大切

一方で、契約者が決まるときにはあっという間にきまります。テナント用の不動産探しは不動産仲介業者とともに行うことが一般的ですが、内見後に不動産仲介業者からもし少しでも気になったのであれば申込みをすることを進められます。

プロの不動産仲介業者は売買を成約させて仲介手数料が欲しいからではないかと思われるかもしれません。確かにその側面はありますが、内見後迷っている間に他の候補者が崎に申し込みを行ったため、せっかくの物件がほかの人に取られてしまうという例をいやというほど見てきており、これから開業する予定の事業者に対して親切にアドバイスをしているという側面もあるのです。

●良い物件は複数の事業者による奪い合い

駅前の一等地、集客力の高い商業施設、交通量が多いロードサイドの立地など好条件のテナントであればあるほど、複数のテナント契約申し込み希望者がいるものです。好条件の店舗であれば、不動産仲介サイトに公開してから数日で申し込みが入り契約が決まってしまうことも珍しくありません。

先ほど述べたように、せっかく開業候補となるテナントを見つけても、検討に時間がかかり申し込みの順番が遅かったためにライバルに店舗契約を奪われてしまったということは珍しくありません。

業態の違いもありますが、契約交渉は早い者勝ちという側面もあります。テナントの貸し手としても、時間をかけて交渉してくる相手よりもすぐに即断してくれる賃借人の方が契約相手として交渉する気になるというのは、貸し手の立場になれば容易に想像できるでしょう。

●本部は加盟店の経験に寄り添ったサポートが必要

こうした不動産の契約事情について、加盟店希望者、特にこれまで店舗ビジネスの事業を行ったことがない加盟店オーナーはテナント契約についての一連の流れを知らない場合が多いです。加盟店は事業だけではなく、それ以外の知識についても不足している場合が多いのです。

本部は、立地診断は当然のことながら、店舗の借り入れについての一般的な手続きについても丁寧に加盟店に連絡しながら契約交渉をサポートことが大切です。

 

フランチャイズの知名度と契約交渉

ここで少し視点を変えて、テナントを貸し出す側、いわゆる大家の立場から考えてみますと、フランチャイズ店舗の賃貸契約というのは知名度がある場合には、契約交渉で選んでもらいやすい立場になります。

世界で最も成功したフランチャイズモデルの飲食店といえば、マナドナルドでしょう。一等地にテナントを所有している大家としてテナントを選ぶ場合、知名度が低い個人のハンバーガーショップよりも日本中、いや世界中で成功しているマナドナルドを選択するのではないでしょうか。

●フランチャイズ開業が有利に働くことも

テナントとしての魅力がある場合には複数のブランドが出店交渉を行いますが、テナントの貸し手が強い場合、一定のブランド価値がなければ契約交渉すら始められないこともあります。その点でフランチャイズに加盟している場合には優位に契約交渉を進めることができる可能性があります。

個人では借りることができない物件もフランチャイズに加盟している場合には契約交渉を行うことができる場合があるのです。

テナントオーナーは、近隣との問題を起こさず、また安定的に事業が継続し長期的に契約してくれるかどうかを重要視します。フランチャイズ加盟店が10、30、50、100と拡大していくことにより、そのフランチャイズブランドで開業した場合には長くビジネスをつづけるというイメージをテナントオーナーに与えることとなります。フランチャイズのネットワーク拡大により知名度があがるほど、店舗の契約交渉において、加盟店が有利になりうることを理解することが大切です。

 

一度開業したら店舗の場所は動かすことが出来ない

一度出店場所を決めた後は、基本的に場所を動かすことができません。飲食店など初期投資が重いビジネスモデルの場合は、立地選定後に1,000万円以上、多い場合では3,000万円以上投資することになりますので、容易に営業の場所を移動することができません。集客がうまくいかない立地を選定してしまった場合には、開業後不利な状況を挽回するための一層の努力が必要となります。

したがって本部としては詳細な調査や過去の加盟店の業績推移から得られたデータを基に、加盟店に対して十分な情報提供を行うことが求められます。

加盟店に対しての開業前の本部によるサポートの中でも立地選定についてのノウハウは重要な部分であることを認識して、サポートに取り組みましょう。

●店舗ビジネスの開業は集客力に優れている立地を選択すべき

どのような立地が優れているのかという具体的な話に入る前に、実際に最寄り駅やよく使うターミナル駅の周辺に、業種ごとにどのような場所に出店しているかを思い出してください。同業の店舗が出店している場所の特徴からそのグループの戦略を見極められる勘の鋭い人ならば、それ自体が答えです。

●一等地は家賃が高い分集客力が高い

一般に、市街地での開業を駅周辺や商業施設内などの人通りが多い場所は顧客が立ち寄りやすく、リピート率も高まるため、成功につながりやすいです。実際そのような場所に多く出店しているはずです。利便性がよいほど、面積が広いほど家賃は高くなりますが、その分集客効果が高く見込めるからです。

家賃が安い二等地の家賃を見てお得に感じることもありますが、集客効果が弱いのでその分家賃が違うのです。

介護福祉サービスや宅配といった立地を問わないビジネスモデル以外では、家賃を抑えるメリットがありません。街の商業地域で開業した場合も、ロードサイドで開業した場合も家賃の安い二等地で出店した場合には、家賃を考慮しても一等地に出店した場合には不利となる可能性が高いです。

その他の例外的な事例としては、業務スーパーをフランチャイズ展開する神戸物産があります。同社は激安価格を武器に、あえて家賃の安い2等地に出店する戦略を立てて全国規模のフランチャイズに成長していますが、これは緻密な売れ筋商品の絞り込みとボリュームのある大袋販売、「プロ御用達」というマーケティング戦略があってこそ成り立っている非常識な成功戦略であり、通常はうまくいきません。

 

相場や家賃、運営費用の見積もり

先ほど立地を動かすことはできないというお話をしましたが、家賃というのは一度契約すると固定費として店舗を経営し続ける限り発生する経費です。過去の実例から売上予測を行う場合、店舗の坪数の大きさによりおおよその売上水準は予測可能です。ビジネスモデルから想定される売上予測から見て、家賃が適正かどうかを判断し確認してください。

●家賃は売上の10%を目標に

業態ごとに適切な売上と家賃のバランスは異なりますが、10%程度が目標とされています。
例えば、月商100万円の店なら家賃は10万円、月商300円の店なら家賃は30万円が目安となります。それ以下に抑えることができれば利益が出やすくなりますし、それ以上だと利益が出にくくなる傾向があります。

家賃が固定であるのに対し、売上は変動する関係を考えますと、家賃と売上の割合について開業前の予測段階で10%をめどとするというのは、実は適切な売上予測を行うということにほかなりません。家賃が適正かどうかの判断は、適切な売上予測ができるかどうかという問題なのです。

 

競合店との調査

競合店舗との距離や商圏の広さも考慮することで、十分な集客を獲得できます。ビジネスは相対勝負ですから、ライバルが少ない(弱い)場所に出店するに越したことはありません。開業候補のテナントがフランチャイズ開業のための条件を満たしていたとしても、競合店が近接している地域で、すでに十分な顧客を競合店が獲得している場合には、出店を見合わせ、競合が弱い地域をさがすことが必要となるかもしれません。

一般的には立地診断の際には、その物件の周囲にあるライバル店舗情報をマッピングして、どのような店舗が出店しているかについての調査を行います。通常は競合他社がビジネスを行なっていますので、候補地となる物件と他店舗の位置関係、他店舗の業態確認を行います。

一例として豚骨ラーメンを開業する場合には、半径1キロ以内にラーメン店が何店舗あるかを確認し、それぞれの店舗がどのような味のラーメンを提供しているかについて確認します。

 

顧客ターゲットの特定と商圏分析

ここまでは立地、売上予測などについて概観してまいりました。
フランチャイズ店舗開業にあたっては、顧客ターゲットの特定が不可欠です。そのために、商圏分析を行い、顧客のニーズを数値で把握しましょう。商圏分析では、以下の要素を調査します。

開業候補地の土地柄は、土地勘のある加盟店のオーナーが感覚的に知っているかもしれませんが、そのなんとなくの情報をデータとして裏付けて確認することが大切です。この点はデータによって判断するしかない本部による数値分析が有効ですから、正確な数値情報を提供しましょう。

●昼間人口と夜間人口の把握

まずは、ターゲットとなる顧客層について把握することが大切です。昼間の人口と夜間の人口がどの程度違うかについても確認します。

昼間の人口が夜間の人口を上回っている場合には、オフィスに出勤している会社員が多いことがうかがえます。一方夜間人口が多い、または昼と夜の人口があまり変わらないのは住宅街の特徴です。この場合近隣の住民が主な顧客となります。

近隣の住民が中心の店舗であれば一日中濃淡なく顧客が来店するでしょうし、土日も集客が見込めます。一方で会社員が顧客のコア層となることが想定される場合には、ランチタイムや業務終了後に集中するでしょう。土日は場合によっては顧客が少ないかもしれません。中心となる顧客層の把握は、投資を回収するだけの売上が見込める計算根拠となります。

また、この時点で顧客層を把握しておくことは、開店前の初動プロモーションの戦略策定にも関わります。ポスティングか、インターネットでの集客か、または駅前でのチラシ配りか等、適切な方法が異なってくることに加えて、それぞれの広告媒体でどのような顧客を想定してメッセージを記載するかが異なるからです。

●建物の構造や設備、改装や修繕の必要性確認

フランチャイズにはブランド価値を高めるため、それぞれ本部の定めた内装があります。開業候補となっているテナントが、フランチャイズ本部の定める内装の仕様どおりに内装工事ができる形状かどうかを確認します。

デッドスペースがある場合にはそれだけ割高な物件を契約しているのと同じになりますので、本部の設計・施工の基本モデルから判断して当該テナントの形状が、開業に適しているかどうかの診断を行ってください。

●契約形式(スケルトン・居抜き)

賃貸契約については、一般的にスケルトンまたは居抜き形態での出店を行います。スケルトンとは内装が全くされていない状態、コンクリートがむき出し、天井がついていない状態であり、居抜き形態は前店舗の内装を一部そのまま利用して出店する業態です。

・スケルトンの特徴

スケルトン仕様で一から内装を作り上げる場合には、テナントに認められた範囲で自由に内装設計ができるため制約が少ないですが、予算は多くかかる傾向にあります。その分内装にこだわり、店舗の世界観を作りこむことができますので、細部までこだわった内装を加盟店に要求する場合にはスケルトンが前提(もしくは居抜きでもスケルトンにしてから内装工事をおこなう)となります。

・居抜きの特徴

反面、居抜きの場合には部分的に内装を利用できる分だけ内装費用が安く済みますが、店舗の内装設計が前テナントと全く同一のことはありませんので、一部内装に制約があります。といっても、塾など事務所仕様のビジネスを展開する場合は、前テナントがオフィス用に使っている場合には居抜きといってもほぼ問題はないでしょう。

フランチャイズの方針として居抜きを許容できるかは、展開しているビジネスの特色および本部の方針によりますので、立地調査段階で本部としての方向性を明確にし、加盟店にサポートを行ってください。

スケルトン・居抜きいずれの出店形式にするとしても、以上で述べたようなメリット・デメリットを加盟店に説明して、加盟店がスムーズに賃貸交渉をすすめるよう指導しましょう。

●物件前面・物件周辺交通量の調査

店舗が設置している道路の往来について交通量の調査を行います。徒歩で来店する立地の場合は徒歩での通行人数を、車の場合には車の交通量を調査します。一時点だけではなく、平日と休日、昼と夜についても把握します。

人の流れは通り一本違えば、全く異なります。また、駅が近くにあり、徒歩で来店する商業地域のテナントと、車で来店するロードサイドのテナントでは来店の流れが違います。

フランチャイズネットワークが拡大してくると様々な立地条件で開店した加盟店の情報が蓄積され、きめ細やかな判断が下せるようになります。例えば、市街地に出店する場合にも路面店(1階)だけではなく、空中店舗(2階以上)で開業する事例も出てくるでしょう。

異なる属性のテナントの売り上げ状況を具体的に加盟店に示すことで、有力な判断材料となります。これまで本部が蓄積してきたノウハウをもとに、開業予定となるテナント候補の潜在的集客能力を確認しましょう。

●集客効果のある商業施設の有無

近くにショッピングモール、スタジアムなど集客力のある施設がある場合には、その商業施設から移動する顧客の流れから集客が見込めます。

このような情報を基に、自店舗の特色やサービスを把握したうえで適切な立地を選択することができます。

 

消費特性の理解

成功のためには、地域の人口動向や消費特性を理解することも重要です。人口動向を調査することで、想定顧客数やニーズの変化を予測できます。先ほど述べたような地域住民が中心なのか、会社勤めの人が中心なのかという視点だけではなく、年齢や性別についても大まかな傾向を掴むことが出来ます。これにより、自社の提供する商品との相性がいい地域かどうかを確認します。

●具体的な顧客想定事例

消費特性を考える一例としてクレープ店やアイスクリーム店の開業事例を考えます。この場合、主力顧客となるのは10代~20代の女性でしょう。この年齢層はinstagram映えを意識した写真を撮ることが出来るか?という観点で来店する人も多いです。

したがって、一般的には周囲に同業店舗があることはマイナス要因ですが、特色があるクレープ店舗やアイスクリーム店の場合は顧客層の来店動機になるため、競合店が存在していることは+の要素になりえます。

また、蕎麦屋を開業する場合には、中年男性層が仕事の合間に食べることが想定されるので40代以上の男性がいるかどうかがポイントとなるでしょう。おそらくファッション感度が高い地域には出店しても顧客属性とマッチングしないためうまくいきません。想定顧客である男性がどのような消費行動をとっているかを踏まえ、出店準備をしていきます。

フランチャイズにおいては既に顧客に顕在化しているニーズをもとにサービスを展開していきます。立地同様に消費特性を把握することで、本部としては地域住民のライフスタイルや嗜好に合った商品やサービスを展開できるかどうかを判断するための情報を加盟店に提供してください。

 

業種別フランチャイズ立地選定のポイント

ここまでは、立地診断についていくつかのポイントについて解説してきました。フランチャイズの立地選定では売上予測・競合調査・交通量調査などは共通して行われますがそれ以外にも、業種によって確認するポイントが異なるため業種に合ったチェック項目の確認が必要です。具体例として本稿では、主要な業種別の立地選定ポイントをいくつか示します。

●飲食業界の立地選定ポイント

飲食業界の立地選定ポイントでは、駅周辺や商業施設内など、人の流れが集まるエリアが重要です。また、客層や営業時間帯に合わせた場所選びも大切です。

例えば、昼食需要が高いカフェやファストフード店では、オフィス街や学校周辺が適しています。さらに出店する飲食店の特色を絞り込むことで立地診断が変わってきます。

ラーメンを一例に挙げますと、男性が多い大学近辺のキャンパスであれば、ボリューム感のあるメニューを打ち出す店舗が人気となるでしょうし、社会人の女性需要を取り込める立地であれば、おしゃれな内装と健康を意識したラーメンをメニューにもつ店舗の開店候補地とすることが考えられます。

一方、夜の利用が多い居酒屋やバー形態などは、繁華街や駅周辺が望ましいです。さらに、競合店との距離も考慮し、適切なバランスを保つことが成功への鍵となります。

飲食店はウェブサイトの予約も増えてきてはいますが、ほかのフランチャイズ業態と比較しても、空腹という短期的な動機によりその時点で目に入る店舗に入店することを決める傾向があるため立地そのものが広告宣伝効果をもたらします。そこで、他の業態と比較しても好立地の路面店に出店する重要性は高いです。

●教育業界の立地選定ポイント

学童教育、幼児教育、塾などであれば、ターゲットとなる年齢層の子供がたくさんいる地域かどうかを確認します。親の所得層が高い地域であれば子供に教育費用をかける傾向にありますので、所得水準の確認も必要です。

この業態の特徴は、サービスの対価を支払う人(保護者)とサービスを受ける人(子供)が異なる点にあります。保護者が存在を認知しやすい場所であり、かつ安心して子供を通わせることができる立地かどうかという2つの視点が求められます。

・都心部からアクセスが良い場所

中学受験や高校受験の場合には、利便性が高い駅前であることが大切です。塾のビジネスでは毎年志望校実績を積み上げるため、母数となる生徒数を確保することが大切です。

そのためには学生の限られた時間の中で効率よく授業を行う必要があります。学生の中には近隣地域だけではなく、遠距離から通う生徒もいるため、駅から近く通いやすい立地であることも大切です。

子供幼児教育や学童教育などであれば地域密着型の店舗であり、基本的には親が常に一緒にいることが前提条件となりますので、必ずしも駅前である必要はありませんが、交通の動線がいい場所であること、視認性が高い場所で有ることが望ましいです。

・安全面からも良いアクセスが望ましい

受験産業の場合は夜8時から9時という遅い時間帯に授業が終了して子供が岐路につくという特徴もあるため、安全面から見ても駅から近く、道中も明るい立地であることが親から見て安心感があります。

また、講師を集めるという観点からも利便性が高い立地であることが望ましいです。

・商圏内に同業者が少ない状況

塾業界は伝統的な1対複数の授業形式から、より顧客のニーズにあわせた個別指導形態や授業をせず学習計画を管理する塾など新しい業態が登場しています。競合が少ない地域での出店を検討すると、先行者利益が得られるためメリットが大きいです。

以上のように教育関係の立地選定の際には、人口密度やアクセス、競合状況を調査し、最適な場所を選ぶことが大切です。

 

小売業界の立地選定ポイント

小売業界では、売上向上と顧客満足度向上のために地域性を考慮した立地選定が大切です。具体的なポイントは以下の通りです。

●想定商圏内の人口

フランチャイズで小売り店舗を開業する場合には、地域の顧客が中心顧客になります。候補地から半径500メートル、1kmなど業態に応じて商圏内人口がどれだけいるかについて確認します。

視認性が高い立地は広告宣伝効果がありますので、駅近や交通アクセスについても確認し、顧客が来店しやすい、駅近や交通アクセスが良いテナントを中心に物件候補を選定していきます。集客力の高い路面店、集客力がみこめる商業施設での出店が中心となります。

●競合店舗との距離

既にライバル店舗が出店しており一定の認知度を獲得している場合には、対象となる顧客が分散し十分来店が見込めない可能性があります。そもそも、商業施設の出店の場合にはテナントの多様性を確保するために同業種の出店は制限される場合が多いです。

直接的な競合となる店舗との距離を十分に確認し、最適な場所を選ぶことが大切です。

 

サービス業界の立地選定ポイント

サービス業界では、顧客層や利便性を考慮した立地選定を探しましょう。店舗を構えるサービス業態のフランチャイズは、マツエク・ホワイトニング・リラクゼーション・ネイル・エステ・フィットネスなど美容・健康系が中心となります。

●路面店でなくても開業が可能な業態

この業態は広告媒体による集客が一般的となっており、市街地での開業の場合は、必ずしも路面店ではないテナントを選択することも想定できます。見込み顧客の属性(年齢・性別)がそれぞれの業態で限定されています。

また、この業態は店舗に来店する時点ではサービスを受けることを決定して来店することが一般的です。顧客が抱えている悩みを解決できる無形サービスを提供していることを丁寧にウェブサイトで説明するなどの工夫も必要となります。

●顧客が必要な情報を自ら調べる時代

この業態の場合、顧客が抱える悩みは不要不急ではありますが容易に解消しない悩みであることが多いです。看板をみてもそれだけですぐに来店につながることはなく、複数回看板を見るうちにウェブサイトで自分の抱える悩みを解消できるサービスを提供している店舗かを調べています。

エステサロンであれば、痩身なのか、小顔矯正なのか、肌質の改善なのか、脱毛なのか、悩みは人の数だけ異なります。それぞれの悩みでも人によって解消したいポイントが異なります。その顧客は、自分が欲しいサービスがあること、また施術者の情報をウェブサイトなどで確認してから申し込みのステップに入ります。

サービスの内容についてホームページ等で顧客は調査し、自分の問題を解決できることをあらかじめ8割方調査してから来店しているのです。スマートフォンで情報を調べることが一般的になった昨今、現場のセラピストやエステシャンがこれまで行ってきたサービス説明はウェブサイト上のテキストや動画で説明することが求められる時代になっています。

そして、初回のプロモーション価格で実際のサービスを確認して、継続的に利用するかどうかを決定します。

●立地もやはり重要

ウェブサイトからの集客が効く業態とはいえ、立地診断において、顧客導線が不要というわけではなく、最寄り駅からの距離、わかりやすい立地であることに越したことはありません。要素を考慮した立地選定が、サービス業界において成功への道筋となります。

これらのデータや統計情報を適切に分析・活用することで、精度の高い売上予測が可能となります。経営者はこれらの情報を元に、事業計画や予算の策定、販売戦略の立案などを行うことができます。

 

立地選定後の集客戦略

適切な立地選定後は、集客戦略の策定が不可欠です。まずは地域や人口、競合店舗などを綿密に調査し、商圏の特性を把握します。

加えて、店舗の魅力を最大限に活用できるよう、事業者と本部が連携を図り適切なキャンペーン企画を考案します。

提供する商品やサービスそのものはフランチャイズで同じであっても、キャンペーン企画を考案し、見せ方を変えることで集客の結果は異なります。加盟店に独自の商品開発を認めているフランチャイズ飲食店であれば、地域の特産品を生かした独自メニューを開発することでブランドイメージを確保しながら独自性を打ち出し、競合他社との差別化が可能となります。

集客を促す施策として、デジタルマーケティングや店頭でのイベント開催、飲食業界におけるコラボレーション企画、地元のスポーツチームとのコラボレーション企画など、店舗の特性にあった販促施策を幅広く活用しましょう。

成功するためには、地域のニーズに応えた商品やサービスの提供、顧客満足度の向上が不可欠です。フランチャイズというと、一般的には地域性を意識しないでどこでも事業展開ができるビジネスモデルと思われているかもしれませんが、地域の特性を把握することはビジネスの成功のために不可欠です。これらの要素を踏まえて戦略を練り、立地選定後の売上アップを目指しましょう。

 

フランチャイズ立地選定成功へのまとめ

フランチャイズ立地選定の成功には、地域や人口、競合情報を元にした緻密な調査と戦略が欠かせません。また立地診断のための時間は限られていることから、必要な確認事項をテンプレート化して、スピーディに情報提供する体制づくりが本部には求められます。

本記事を参考にして、適切な立地選定と効果的な営業戦略を立て、フランチャイズ事業の成功を目指しましょう。

 

フランチャイズ本部のための立地診断サポートはヴィラにご相談ください

適切な立地選定については蓄積されたノウハウが必要であり、加盟店店舗が増加すればするほど、立地診断についてのノウハウが本部に蓄積されていくため、業態に合った開業が成功しやすい立地を選定できるようになります。

しかしながら、これから本部機能を立ち上げようとする事業者は、現時点で立地診断のノウハウが蓄積されておらず、適切な立地診断ができないことから加盟店の成功事例が積みあがらず、結果として加盟店が増加するスピードが遅くなる可能性があります。

アジアンリラクゼーションヴィラをフランチャイズ展開する株式会社ヴィラは広島県において直営店を開業したのち、当初はロードサイドを中心にフランチャイズ出店をすすめ、立地診断のノウハウを積み重ねてまいりました。店舗網が200以上となりリラクゼーション業界においても一定の認知度を得られるようになったことから、都市型店舗においても加盟店の出店をすすめ、ノウハウを蓄積してまいりました。

これまでの豊富な加盟店開発経験を活かし、これからフランチャイズ本部を構築して加盟店による事業展開を検討される方のために、ヴィラでは、業態ごとの適切な立地診断のプロセスや注意事項をアドバイスすることが可能です。

フランチャイズ本部構築のため、さらに詳しい立地診断に関するアドバイス、加盟店に対する適切なサポート、情報管理等に興味がある方は、お気軽にお問い合わせください。

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